このページはPR・広告を含みます

NDT INSPECTION REPORT

ブログ|業界コラム

超音波探傷と放射線透過はどう違うか、検査の基本

溶接部に超音波探傷の斜角プローブを当てる様子と、放射線透過写真をフィルムビューアで読み取る様子を左右に並べた画像

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の機器メーカー・検査事業者の推奨ではありません。

破壊せずに診る、同じ土台の上で

溶接部や配管の内部にきずがないかを、対象を壊さずに確かめる仕事全体を非破壊検査と呼びます。一般社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI)は、方法ごとの技量認定の規格(NDIS)とJIS Z 2305に基づく非破壊試験技術者の資格試験を公表しており、技術者の経験・知識・実技を証明する枠組みを運用しています(JSNDIの資格・技量認定の公表)。この体系の下で、内部を診る代表的な二つの手法が、超音波探傷試験(UT)と放射線透過試験(RT)です。

[PR]

二つの手法は、「対象の中のわずかな異常を、外から見つける」という姿勢ではそろっています。ただし、情報をとらえる単位が根本的に違います。UTは、対象の中を進んだ音波が帰ってくるまでの時間差と振幅という「波」として内部を診ます。RTは、外から放射線を透過させたときの透過量の差という「光と影」として内部を撮り、その結果を像として記録します。単位の違いは、機器の形、記録の形式、検査を運営する側の安全管理の構えまで連続的に影響します。当サイトの検査手法の整理ではUT・RT・MT・PTの基本の四手法を並べて整理していますが、本稿ではUTとRTの二つに絞って、それぞれの読み方と分かれる点を整理します。

超音波探傷:時間差で位置をつかむ

UTは、探傷器に探触子を当て、対象の内部から返る音波の反射と透過を解析して、きずの有無、位置、伝ばんの解釈に基づく寸法評価を行う手法です。接触式の厚み測定を組み合わせて、配管やタンクの減肉評価に幅広く用いられています。反射波の振幅と到達時間から、きずの大きさと深さを読み解くには熟練を要するため、技量認定の講習と実技試験を含む等級運用が背景にあります。反復測定と時系列の追跡が実施しやすい点を強みとし、大規模プラント・航空機・造船・鋼構造物まで幅広い領域に展開しています。

近年は、複数の探触子を並べて偏った波形を合成するフェーズドアレイ(PAUT)や、透過波と屈折波の到達時間の差からきずの高さを測るTOFDが普及し、溶接部の検査性と測定速度が大きく改善しています。1回の走査で断面に近い情報が得られるようになったため、そのデータを判定に活かす動きも進んでいます(近年の動向は超音波探傷とAIで整理しています)。一方で限界も明確です。音波の伝わり方は材質・外形・表面の状態の影響を受けます。数值の読み取りが人の判断と規格の整合に依存する面も残ります。また、超音波を対象の片面から入射できるケースが多い点は実用上の利点で、両側にアクセスする計画を組みやすいRTとは、現場作業の設計から異なる条件になります。

[PR]

放射線透過試験:透して撮り、像として残す

RTは、X線装置や密封放射性同位元素(ガンマ線線源)を対象の近傍に置き、透過した放射線をフィルムやデジタル検出器で像として読み取る手法です。内部きずを二次元の像として記録でき、きずの存在を像の上で確認できるため、溶接構造物の品質管理や各種の規格・基準に組み込まれてきました。像として残る記録は、第三者による再読や確認にも向き、過去の検査結果との比較という形で長期管理の基礎資料として活用されます。

一方で、放射線源を外部に持ち込む性質上、装置や線源の配置、遮蔽、周辺の立入制限といった運営面の設計が前提になります。また、得られるのは平面の像であるため、きずの厚み方向の位置という金属内部の立体的な情報は、音波側の読み方とは考え方が変わります。このため、きずの寸法評価の際には、二つの手法がともに使われる場面が生まれます。記録形式の側では、長く工業用X線フィルムが主役でしたが、近年はデジタル検出器やIP(イメージングプレート)の併用が広がっています。たとえば富士フイルムは、工業用X線フィルムとIP画像読取装置の双方の製品を公表しており(工業用X線フィルムの公表)、記録がフィルムからデジタルへ移行しつつあることは、成果物の形式を確認する読み手側の論点にもなっています。

進め方を分ける:放射線の制度面

UTとRTの実務上の大きな差は、「放射線を扱うかどうか」に付く制度と安全管理の構えです。RTでは、労働安全衛生法の体系により、エックス線装置及びガンマ線照射装置を用いて透過写真の撮影の業務に従事する労働者に対し、関連規則に基づく特別の教育の実施が義務づけられています(「エックス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程」、安全衛生情報センターの公表で確認)。また、ガンマ線による障害の防止の直接責任者として「ガンマ線透過写真撮影作業主任者」の免許を管理区域ごとに選任することが定められており、免許試験は公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施しています(同協会の免許試験の公表)。

放射性同位元素(RI)を用いる事業体では、放射線障害防止法の許可・管理の体系の下で、RI使用施設での放射線取扱主任者による管理が制度として位置づけられています(原子力規制庁の放射線取扱主任者の公表)。検査を実施する側のこの構えの結果、RTの検査日程には遮蔽や立入制限、周辺作業の停止などの調整が組み込まれ、UTの現場とは工程の造りが変わります。こうした資格・人材の取り組みは、事業者が個別に公表していて、たとえばハッコウ検査株式会社は社員のガンマ線透過写真撮影作業主任者試験の合格を自社サイトでお知らせとして公表しています(ハッコウ検査の公表)。なお、以上は法令・公示・所管機関の公表資料の引用による事実整理であり、個別の作業手順や安全判断への変換は行いません。

[PR] 【コミュファ光】超高速インターネットが1年間ずっと月額980円〜!

読み手側で押さえる三つの論点

第一に「目的と成果物の形」です。内部きずを像として記録し、品質管理や長期管理の記録資料として保持したいのか、きずの位置・寸法の読み取りや減肉の継続追跡が目的なのかで、手法の向きが変わります。成果物の形式は、RTでは透過写真やデジタル画像、UTでは波形や断面データという具合に分かれ、後日の読み返し方にも差が出ます。

第二に「対象と条件」です。対象の材質、外形、片側からのアクセスの可否により、二つの手法が交換して使えない場面があります。1つの手法に全てを期待せず、表面近くのきずをMT・PTに担当させ、内部のきずをUT・RTが受け持つという併用の考え方は、「検査手法の整理」で触れたとおり計画の土台になります。

第三に「実施体制」です。どんな等級の技術者をどれだけ配置しているか、放射線関連の免許・特別教育の体制をどう公表しているかは、依頼先の技量構造を確認する際の情報になります。事業者側の保有資格・体制の公表の有無は、【比較表】非破壊検査サービス・診断事業者で横並びにしています。資格・キャリアの全体像は資格・キャリアの整理で確認できます。

まとめると、UTとRTは「壊さずに内部を診る」という同じ目的に立った上で、波で診るか、透して撮るかという読み方の分かれ目に位置しています。読み方の違いと体制面の違いを押さえておくことで、検査の計画と成果物の確認が滑らかに進みやすくなります。手法・体制の詳細は検査手法の整理と各事業者の公式資料でご確認ください。

本サイトは非破壊検査産業を公開情報から整理したものであり、個別の検査結果・判定や安全判断に関する助言ではありません。検査方法・資格・法令の適用は基準原文・所管官庁・有資格者にご確認ください。